なるほど健康メモ

なぜ女性に骨粗鬆症が多い?(2009年5月号)

骨粗鬆(しょう) 症は全身性の疾患で、骨の強度が低下して骨折しやすくなった状態と定義されています。

 現在、日本では約1千万人の患者がいると推定されており、50歳以上の男女で比較するとその5人に4人が女性と考えられます。また、50歳以上の女性のうち24%が骨粗鬆症であるといわれています。

 骨粗鬆症が女性に多いのは諸外国でも同じで、特に更年期以降に発症する場合がほとんどを占めています。
骨粗鬆症は、原発性と続発性の2つに分けられます。原発性骨粗鬆症のうち老人性骨粗鬆症は男女共通ですが、閉経後の骨粗鬆症は女性に特有です。

 骨組織には骨を溶かす細胞と、骨を作る細胞が存在します。骨は溶かされた後に新たに骨が作られて、骨量は一定に保持されます。
成人すると骨組織は全く変わらないと思われがちですが、実は骨の強度を保つために常に骨の吸収と形成が繰り返され、新しい骨に入れ替わっているのです。

 エストロゲンという女性ホルモンは骨を溶かす細胞の働きを抑え、一方で骨を作る細胞の働きを活発にする作用があると考えられています。このためにエストロゲンが急激に低下する更年期以降では骨粗鬆症になりやすくなります。

日本で行われた調査では、閉経後の最初の10年間で骨密度が15%低下するという報告があります。骨粗鬆症の早期発見・早期治療のためには、40歳以降の女性で数年に1度の検査が望ましいとされています。