なるほど健康メモ

Hibワクチンをご存知ですか? (2010年1月号)

「Hib(ヒブ)」とは、インフルエンザ菌b型の略称です。

 19世紀末インフルエンザ患者の喀痰(かんたく)から見つかったため、インフルエンザの病原菌とはじめ考えられ、この名が付けられました。

 しかし、現在では、インフルエンザの原因はウイルスであることが明らかとなっています。この菌は髄膜炎、喉頭蓋炎(こうとうがいえん)、肺炎、敗血症(はいけっしょう)など、生命に関わる全身の重篤(じゅうとく)な疾患(しっかん)を引き起こします。

 日本における罹患(りかん)率は、5歳未満で人口10万人あたり8~9人、年間約600人が罹患すると推定されており、適切な治療を早期に行っても、5%の患者が亡くなり、15~20%にてんかんや聴力障害などの後遺症が残ると言われます。

 また、最近は薬剤耐性菌が増えており、治療も難しくなっています。予防が最大の決め手と言われており、ワクチンの発売が、待ち望まれていました。海外ではすでに100カ国以上で導入され、90カ国以上で定期接種が行われています。

定期接種を行っている国では、Hib感染症は過去の病気となっているのです。

 日本でもHibワクチン(販売名アクトヒブ)が2007年1月にようやく承認され、08年12月に発売となりました。Hibワクチン接種は現在「任意接種」として実施されています。

量がまだ少ないため、接種できる人数に限りがあり、予約制となっています。

 小児科関係の学会などが、国や自治体の責任で誰もが無料で受けられる「定期接種」として認可されるよう、国に強く要望しているところです。