なるほど健康メモ

子宮頸がんを予防するワクチン(2010年2月号)

子宮がんの一種である子宮頸がんは、女性特有のがんとしては乳がんに次いで発症率が高く、日本では年間約1万5千人が発症、約3,500人が亡くなっていると推計されています。

 特に最近は、20~30歳代の発症が増えていることが大きな社会問題です。子宮頸がんは、ほとんどが発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因で発症します。

 発がん性HPVは8割もの女性が一生のうちに一度は感染するありふれたウイルスですが、ほとんどの場合は、感染してもウイルスが自然に排除されるため、がんを発症するのは感染した女性の1%未満と考えられています。

 ところが、自然感染しても十分に抗体価(こうたいか)が上昇せず、同じ型のウイルスに何度も感染する可能性があり、高い抗体価を維持する方法としてワクチンの開発が望まれていました。

 子宮頸がんの予防ワクチン「サーバリックス」が、2007年にオーストラリアで初めて承認されて以来、既に世界100カ国以上で承認されており、日本でも2009年10月に承認され、12月から使用されるようになりました。

 接種対象者は、10歳以上の女性であり、通常3回(初回、1ヵ月後、6ヵ月後)上腕三角筋部に筋肉内接種します。

 主な副反応は、注射部位の疼痛(とうつう)、発赤(ほっせき)および腫張(しゅちょう)、掻痒(そうよう)などです。

 ワクチンの接種と定期的な検診を受診することにより子宮頸がんは、ほぼ100%予防が可能と言われるまでになっており、女性のがん予防や国のがん対策に対して大きく貢献することが期待されています。