なるほど健康メモ

内視鏡外科手術とは〜①腹腔鏡手術 (2010年5月号)

今回と次回は「内視鏡外科手術とは何か」についてお話します。

 腹部に行う内視鏡外科手術、それを腹腔鏡下手術(ふくくうきょうかしゅじゅつ)といいます。従来、おなかの病気に対して手術が必要な場合、おなかを切開しそこから直接、手や手術器具を入れて手術(開腹手術)を行っていました。

 もちろん、現在も開腹手術は腹部手術の基本ですが、『できるだけ傷を小さくする』すなわちできるだけ手術後痛くなく、美容的にきれいにする目的で腹腔鏡手術が開発され、急速に普及しています。

 これは1cm程度の切開創(せっかいそう)から腹腔鏡というカメラをおなかの中(腹腔内)に入れ、そこから得られた映像をモニターに映し、それを見ながら他にも1cm~5mmの切開を何カ所か加え専用の細長い道具を入れて腹腔内で行う手術です。

 1985年頃海外で胆嚢(たんのう)摘出術に腹腔鏡下手術が行われ、その成績が良好なことから89年に日本に導入されました。その利点は、『術後疼痛(とうつう)の軽減』『入院日数の短縮』だけでなく『拡大視効果により肉眼よりよく見える』『手術室にいる全員が同じ視野で手術ができる』ため、安全で繊細な手術が行えることです。
 現在では、胆石、ヘルニアなどの良性疾患(しっかん)だけでなく、胃癌や大腸癌などの悪性疾患にも適応が拡大されています。

 その背景には、日本内視鏡外科学会が行っている内視鏡外科技術認定医制度により外科医の技術が向上したことがありますが、腹腔鏡がハイビジョンカメラになるなど、専用の道具がどんどん進化したことも一因です。日本は技術、道具とも世界最先端です。

 ただ、すべての手術を開腹手術より腹腔鏡手術で行えばよいというものでなく,認定医を中心としたチームで症例ごとに適応を十分検討する必要があります。