なるほど健康メモ

女性の骨粗鬆症の予防とホルモン補充療法 (2011年5月号)

骨にはタンパク質やリンなどとともに、たくさんのカルシウム(骨重量の約50%)が含 まれています。
しかし、骨に含まれるカルシウムなどの量(骨量)は若年期をピークに年 齢とともに減ってきます。

そして骨量が減少すると、骨の中の構造が壊れ、骨は非常にもろい状態になり(脆弱性亢進:ぜいじゃくせいこうしん)、折れやすくなります。この状態が骨粗鬆症(こつそしょうしょう)です。

女性は、卵巣の働きが停止して女性ホルモンが分泌されなくなると、骨量は急速に減少します。正確には卵巣の働きが衰え始める40 歳代の初めから骨量は減少し始めているのです。

50歳代前半なのに、60・70歳代の骨量と診断されてショックを受ける方が少なからずいます。骨も皮膚と同じように新陳代謝を繰り返しますが、立派な骨を作り続けるためには、

① 骨の材料のカルシウム
② 骨を作り続けるための運動
③ 骨の破壊を調節するホルモン(エストロゲン)

の3つが欠かせません。

ここで問題なのは、エストロゲンが欠乏すると、骨が壊れやすくなり、骨からカルシウムがどんどん抜けてしまうことです。
もし、閉経後に何も対策を講じなければ、50歳代後半から年率で約2%の割合で骨量が減少してゆきます。
このときホルモン補充療法によってエストロゲンを補給すると、最初の1年で骨量が2〜3%増加します。

さらに5年続けると合わせて10%ほど増えるというデータがあります。
また、60・70歳代で始めるよりも閉経前後に始めた方が骨量増加には効果的だという報告もあります。
更年期は骨粗鬆症を予防するための開始年齢であるともいえるでしょう。