なるほど健康メモ

子宮頸がん予防ワクチンと子宮頸がん検診(2011年6月号)

子宮頸(しきゅうけい)がんは、日本では女性の癌の発症率がんの第2位を占め(第1位は乳癌)、年間約15,000人が罹患(りかん)し約3,500人が死亡している病気です。

この子宮頸がんの大部分は、ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因と考えられ、子宮頸がん予防ワクチンは、その感染を防ぎ発癌を予防するワクチンです。

HPVには、癌との関連が高いハイリスク型と、癌との関連が低いローリスク型があります。子宮頸がんの99%以上でHPVが検出されますが、ハイリスク型の16型と18型が多くを占めるとされています。

日本で現在使用中のサーバリックスは、この2つの型をターゲットとして、子宮頸がんとその前段階を予防する2価ワクチンです。

欧米の大規模な研究ではこのワクチンがHPV感染に絡む病変をほぼ100%防いだと報告されています。

HPV16型および18型が原因の子宮頸がんは、日本では全体の約70%と考えられています。
したがってワクチン接種で予防できないハイリスク型HPVに感染する可能性や、ワクチン接種時にすでにHPV16型や18型に感染していることもあるので、ワクチンだけでは子宮頸がんを完全には予防できません。

このため、ワクチン接種を受けていても定期的な子宮頸がん検診を受ける必要があります。
子宮頸がん検診を受け、早期に前駆病変や初期病変を発見することにより子宮を摘出することなく、子宮の先の方だけを切り取る子宮頸部円錐(しきゅうけいぶえんすい)切除など妊娠の可能性を残した早期治療が可能となります。

早期治療で妊娠の可能性を限りなく残す

このように、子宮頸がん予防ワクチン接種と子宮頸がん検診の両輪で子宮頸がん対策はほぼ万全となります。