なるほど健康メモ

糖尿病の新薬〜その2〜(H26.7月号)

糖尿病、特にその多くを占める2型糖尿病は、その治療がひと筋縄にはいかない病気の一つです。それは、人間本来の「食欲」という本能と深く関連しているからかもしれません。

我が国の糖尿病患者さんを対象にしたある統計データによると、治療を受けている患者さんの血糖値は、経年的に改善する傾向がみられています。

これは、薬剤をはじめ昨今の治療の進歩が寄与していると想像できますが、まだ十分とはいえない血糖レベルにとどまっており、さらなる治療法の開発が待たれていました。

そのような中で、本年4月からSGLT-2阻害薬という名称の糖尿病治療薬が、新たに加わりました。

糖尿病の新薬

この薬は、今までと全く違う、ユニークな作用で血糖値を改善させます。健康な人は、腎臓の働きにより、血液中のブドウ糖が一度ろ過され尿中に移ります。その後、再び血液中に戻され(再吸収)、尿にブドウ糖が混ざる事がありません。

この薬剤は、その再吸収を阻害し尿中に積極的にブドウ糖を排泄します。一日に約60gのブドウ糖を尿中に排泄させるため、結果、血糖値が下がり体重もある程度減るという薬剤です。

少し太り気味で、あまり高齢ではない2型糖尿病の方が適切な対象者ではないかと考えられています。

今後、主治医の先生方により実際に治療薬として使われ評価されていくものと考えます。

このように、昨今の目覚ましい治療薬開発が、糖尿病の患者さんに福音となることを祈念するものです。