なるほど健康メモ

カテーテルによる大動脈瘤治療(H27.2月号)

おへそのちょっと上あたりに手を当てて、軽く押してみてください。もし、ドクドクという拍動を感じたら大動脈瘤があるかもしれませんので、痛みなどの症状がなくても医療機関を受診してください。

大動脈瘤の治療は開腹、開胸により、瘤を切り取り、ポリエステル製の人工血管で置き換えます。この治療は安全性も高く、確実ですが、身体への負担も大きいので、超高齢者や肺気腫などの重篤な合併症がある場合は手術を見合わせることもありました。ところが最近、カテーテルを使った治療が可能になり、このような患者さんも無理なく手術を受けられるようになりました。

カテーテルによる大動脈癌治療

ステントグラフトという金属のバネがついた人工血管を直径5ミリくらいのカテーテルに入れ、足の付け根の動脈から大動脈瘤のところまで血管の中を進み、大動脈瘤の前後の正常な部分にステントグラフトを中からはめ込みます。海底トンネルをイメージしていただければいいでしょうか。トンネルがステントグラフトで、まわりの海が動脈瘤。トンネルを通るあなたが血液、という具合です。こうすると動脈瘤の破裂の危険は無くなります。おなかや胸を切る必要はありません。

しかし、この治療法にも欠点があります。開胸、開腹手術に比較して確実性に劣り、動脈瘤の中に血液が漏れることがあり、最悪破裂する場合があります。これは退院後何年
たっても起きる可能性があるので、定期的にCT検査を受ける必要があります。

カテーテルを使った治療は今や心臓の弁膜手術にまで広がってきました。今後カテーテル治療はますます発展していくでしょう。