なるほど健康メモ

過敏性腸症候群(2012年9月号)

通勤、通学途中に急におなかが痛くなったり、試験、会議などの緊張を伴う場面で急におなかが痛くなり、便意を催したりした経験はありませんか?
このような経験をお持ちの方は、過敏性腸症候群かもしれません。

過敏性腸症候群とは、大腸、小腸に器質的な病変がなく、ストレスなどが原因で、腸の運動をつかさどる神経や消化管ホルモンの調節がうまくいかなくなり、慢性的に下痢や便秘、腹痛をくり返す疾患のことです。
ストレスの多い現代社会に急増しており、誰もがなり得る疾患です。症状がひどくなると急にトイレに行きたくなるため、学校や会社に行けなくなったり、外出を控えたりと生活の質を低下させてしまいます。

このような症状をお持ちの方は、迷わずに医療機関を受診してみましょう。
まずは、便の検査、血液検査、内視鏡検査などで、腸に器質的な疾患(大腸がん、潰瘍性大腸炎など)がないことを確認する必要があります。

治療としては、食事療法(規則正しい食事を心がける、香辛料や冷たいもの・脂っこいものを避ける)、運動療法(適度な運動は腸の働きを整える効果あり)、薬物療法があります。

薬物療法では、腸の運動を調節する薬、便の水分量を改善する薬、腸に作用するセロトニンを抑える薬などを症状に合わせて用います。

過敏性腸症候群は自己流の対処を続けていても、治りにくい疾患です。医療機関で適切な診断と治療を受けることが大切です。
また、普段から自分の便を見て、便の色や形をチェックする習慣をつけましょう。