なるほど健康メモ

「尿潜血」と「肉眼的血尿」(H30.2月号)

普段血尿という単語は「血尿」よりも健診で発見される「尿潜血」という単語をよく聞くという方のほうが多いかもしれません。

血尿がでる原因を大きく分けると4つになります。

①炎症によるもの。膀胱炎や腎盂炎、男性では前立腺炎などが含まれます。この場合は赤血球だけではなくて白血球も尿中に出てきます。

②結石がある場合。腎結石、尿管結石です。背中の痛みが出ていた可能性があります。

③悪性疾患すなわち癌です。膀胱癌、腎盂尿管癌、前立腺癌、腎癌で出現する可能性があります。よほど進行しない限り血尿以外の症状の出現はありません。

④腎臓の疾患、糸球体腎炎などで、多くの場合蛋白尿も出現してきます。

「尿潜血」と「肉眼的血尿」(H30.2月号)

それ以外の要因もありますが、これらの疾患を鑑別することになります。実際尿潜血陽性でこれらの疾患がある率はそれほどありませんが、目で見て血尿、特に何も症状がなくて肉眼的に血尿がある場合、13~28%が膀胱癌と診断されます。膀胱癌は早期に発見できれば膀胱を取らずに膀胱内から内視鏡で腫瘍を削り取る手術となりますが、進行してしまうと膀胱を摘出する手術が必要になります。

重要なのは肉眼的に血尿が出た場合は、1回止まったから治ったのではなく、早めに、かつ進行する前に医療機関を受診することをお勧めします。

ちなみに膀胱癌は喫煙とのリスクがあり、2~5倍といわれております。これは肺癌発生と同程度のリスクを意味します。喫煙者の肉眼的血尿には注意が必要です。