なるほど健康メモ

冷えと痛み(H30.10月号)

「冷えは万病のもと」といいますが、肩こりや腰痛を悪化させる大きな原因の一つが冷えです。体が冷えると末梢の血管が収縮して血流が悪くなり、筋肉が硬くなってしまいます。これを筋硬結といいます。筋硬結が起こって血流が悪くなると、酸素が欠乏してブラジキニンなどの痛み物質が溜まって痛みを感じます。痛いと交感神経が優位になり、血管が収縮してさらに血流が悪くなり痛み物質が溜まる、という悪循環に陥ってしまいます。

それらを改善するためには運動療法、姿勢や動作の改善、温熱療法などの理学療法、内服加療、トリガーポイント注射などを行いますが、重要なのは冷え対策です。体を温めて冷えを解消すれば、血流がよくなり痛みが和らぎます。

冷えと痛み(H30.10月号)

一番効果的なのは運動で、週2回30分の軽く汗をかく程度の運動により体温が上がって血流が改善し、筋肉をつけることにより基礎代謝もあがります。また、有酸素運動自体に疼痛を軽減する作用があります。

食事では冷たいものや、体を冷やす食材は食べすぎに注意し、体を温める食材を取り入れましょう。漢方薬には西洋薬にはない温める作用をもつものがあり、冷えには効果的です。

ただし、打撲や炎症の初期、腫れて熱をもっているような場合には温めるのは逆効果です。また、末梢の血管が病的な収縮を起こしたり、動脈硬化により血行障害が起こっている場合には、薬物療法や血管内治療が必要になることもあります。

冷えは自覚していないことも多いので、日常生活のなかで運動、食事や入浴など日頃の生活を見直してみましょう。