なるほど健康メモ

現代の結核その1(H31.2月号)

結核は過去の病気と思われている方も多いかもしれませんが、決してそうではありません。平成29年の1年間に日本で結核と診断された方は、全国で16,789人で、これは人口10万人あたり13.3人にあたります。昭和37年には人口 10万人あたりの1年間に結核と診断された方は403.2人でしたので、その頃に比べれば劇的に減ったのは確かですが、まだまだなくなった病気ではないのです。

現代の結核その1(H31.2月号)

結核は、結核患者さんが咳とともに排出した結核菌を他の人が吸い込むことで感染します。感染とは、吸い込まれた結核菌が肺などの体の中でじっとしている状態です。そして、感染した人が皆結核を発病するかというとそういうわけではなく、感染した人の約10%の人が結核を発病します。特に感染してから2年以内に発病することが多く、結核を発病すると、咳や痰、微熱、全身倦怠感、体重減少、寝汗などの症状がでてきて、徐々に悪化していきます。結核菌は一般の細菌よりも非常に分裂速度が遅く、1個の結核菌が分裂して2個に増えるのに18時間から24時間もかかります。大腸菌は同じ時間で100万個にも増えますので、いかに結核菌がゆっくりと増殖する菌であるかがわかります。

そのため、結核は発病して悪化していくスピードも一般にゆっくりとしており、風邪がなかなか治らないと思っていたら実は結核だった、というようなことがあります。ですから、2~3週間以上咳が続く場合は結核も疑う必要があります。そのような場合は早めの医療機関受診をお勧めします。