なるほど健康メモ

COPDという病気を知っていますか?②(R2.12月号)

COPD(慢性閉塞性肺疾患)発症の最大の原因は喫煙です。タバコの煙にある様々な化学物質が肺の内部(肺胞-はいほう-)を破壊し(肺気腫)、気管支を 狭くします(気管支炎)。肺胞面積は成人ではテニスコート一面分もありますが、この破壊により面積が減り、酸素の取り込みや二酸化炭素の排出が障害され、息苦しさ、 息を吐き出しにくいという症状が現れます。壊れた肺は治療によっても元に戻りません。だから、まずは今吸っているタバコ(電子タバコも含む)をやめましょう。

COPDという病気を知っていますか

確定診断にはスパイロメトリーといわれる 呼吸機能検査が必要です。気管支を拡げる薬を用いても1秒率(空気をいっぱい吸った後、可能な限り速いスピードで息を吐き出し、最初の1秒間で吐き出せた量を肺活量で割っ た値)が70%未満で、それが他の病気によるものではないとき、COPDと診断されます。 胸部エックス線検査や、高分解能CT検査は他の疾患との鑑別や、早期の気腫病変も発見できます。さらに、肺癌や間質性肺炎の合併の有無も診断できます。

特徴的な症状としては、歩行時や階段昇降時、身体を動かした時の息切れ感や、慢性の咳や痰です。喘鳴(-ぜんめい-呼吸のたびにゼーゼー、ヒューヒューする)や発作性呼吸困難など喘息(ぜんそく)の様な症状を伴う場合もあります。また、COPDは肺だけでなく、心・血管疾患、骨格筋の機能障害、栄養障害、骨粗鬆症、糖尿病、抑うつなど全身に影響をもたらします。このため、これら併存症も含めた病状の評価や治療が必要になります。息切れの原因が「年のせい」と見過ごさず、病院受診を勧めます。

次回は、その治療法などについてお話しします。