なるほど健康メモ

加齢と補聴器の話(2010年7月号)

言葉は感情や考えを人に伝える重要な手段 です。言葉を聞き取る聴力が低下すると、コ ミュニケーションに支障がでてきます。
加齢 による聴力低下を、老人性難聴といい、70代 の半数が聴力低下を自覚しています。

電話の 声が聞きずらい、家族にテレビの音が大きい と指摘される、集団のなかで話が聞き取れな いなどの症状が出てくると、老人性難聴が始 まっていると思われます。現在の医学では、 老化によって低下した聴力を回復させる方法 はありませんが、補聴器を使用することで聴 力を補うことが可能です。

聴力の低下は人によって様々で、周波数の 高い音も低い音も平均的に低下する人もいれば、より高い周波数の音が低下する人もいま す。
よく通信販売で見掛けますが、単に音を 大きくする集音器は軽度難聴向きです。
中等 度から高度難聴には、各人の聴力低下に合わ せて調整が可能な、補聴器が必要となります。

調整は眼鏡のように一度で済まず、販売店の 技術と使用者の根気が大切で、きちっと調整 されなければ、補聴器の性能を十分発揮でき ません。

老人性難聴は徐々に進行するので、自覚の ないまま家族や周囲の人が困っている場合や、 自覚があっても放置になっている場合が多く みられます。

難聴者の4人に1人しか補聴器 を使用していないとの報告もあります。補聴 器の使用により、健常な聴力に戻るわけでは ありません。経済的な問題もありますが、補聴器を道具としてうまく活用して、必要な情 報をより多く得ることで、呆け防止につなが り、より質の高い生活を送ることが大切と思 われます。