なるほど健康メモ

慢性硬膜下血腫

皆さんは、頭部打撲後などに、それから1〜2ヶ月程度時間をおいてから発症してくる、慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)という病気をご存知でしょうか。

慢性硬膜下血腫は、頭部の頭蓋骨の下にある脳を覆っている硬膜と、脳との隙間に血腫がたまる病気で、血腫が脳を圧迫してくることで、さまざまな症状がみられてきます。

一般的な症状としては片側の麻痺症状や頭痛などが多いのですが、慢性硬膜下血腫が両側にある時などは、非特徴的な症状で発見されることも多い疾患です。

具体的には、少しずつ歩行状態が悪化してくる。言葉がうまく話せない(失語症)。認知症の進行。反応や意欲の低下。失禁症状がみられるようになるなど、さまざまな神経症状が見られることがあります。

また、頭部打撲が全例にみられるとは限らず、そもそも頭部打撲が無い場合や、頭部外傷があったかどうかわからない場合、たとえば、泥酔していたとか、頭部打撲後に脳震盪(のうしんとう)のため健忘状態(けんぼうじょうたい)となった場合などは気づかれにくいこともあります。

医師の早めの診断

このため、上記のような症状が、徐々に進行して見られるようになってきた場合、まず本疾患を疑うことが診断の第一歩といえるでしょう。
高齢者などでは、老年性痴呆や脳梗塞として扱われている場合も少なくありません。
高齢化の中で、慢性硬膜下血腫症例は増加傾向にありますが、本疾患のほとんどは、正しく診断がなされ、タイミングを逸することなく治療が行われれば完治する予後のよい疾患です。

もちろん、慢性硬膜下血腫と類似した症状を呈する疾患との区別は容易ではありませんから、症状が軽いからと言って様子見したり、あきらめたりしないで、早めに病院での検査を受けるようにしましょう。