なるほど健康メモ

遅れてやってくる痴呆・麻痺・言語障害「慢性硬膜下血腫」(H27.12月号)

冬になり、年末年始を迎えるにあたり、飲酒する機会が増えるこのシーズンは、氷や雪道で転んだり、雪下ろし中に氷雪塊が落ちたりして、頭をぶつける方が増える季節でもあります。お酒をたくさん飲む中年以後の方や、高齢者に注意していただきたい病気に、「慢性硬膜下血腫」があります。

これは、頭をぶつけたその時には大した症状は無いのに、一カ月から二カ月を経た時点で、「痴呆・麻痺・言語障害」を呈するものです。脳と脳を守る硬膜という膜の間に、少しずつ血がたまり、正常の脳を圧迫するために生じます。実際に、ぶつけた当日に頭部CTを撮影して異常がなくても、後日、血が脳と硬膜の間にたまる方も珍しくありません。

遅れてやってくる痴呆・麻痺・言語障害「慢性硬膜下血腫」(H27.12月号)

また、たくさんお酒を飲む方は、転んだことを覚えていないことが多いため、この病気になる可能性が高いようです。

最近ふらつく、できないことが増えたと本人はもとより、たまたま帰省した子どもが気づき、病院に連れてきて判明することもあります。

診断は比較的簡単で、頭部CTを確認すると、血がたまっているのが分かります。多くの場合、たまった血を抜いて洗浄することで改善します。

頭を強くぶつけて1~2カ月後に「痴呆・麻痺・言語障害」。心当たりのある方は、どうぞ市内の脳神経外科にご相談ください。