なるほど健康メモ
目の血管がつまっていく糖尿病網膜症~失明原因2位の糖尿病合併症~(H28.10月号)
糖尿病は、現在日本で約950万人の方が罹患している疾患です。
今回は、糖尿病の三大合併症のひとつである糖尿病網膜症のお話をします。糖尿病網膜症は、高血糖が続くことにより、血液がどろどろになり、目の奥にある網膜という神経の
血管がつまり、必要な栄養や酸素が不足して、網膜を痛めていく疾患です。
初期症状はなく、なんとなく見えにくい、ススのようなものが見えるなどの症状で眼科
を受診した時には、手の施しようがない状態になっている場合もあります。治療は病期によって異なり、初期のうちは、血糖値が安定していることが網膜症の発症や進行を抑えますが、血管障害が進行してくると、それだけでは進行を抑えることは難しくなり、レーザー治療が必要になります。
レーザーは有効な治療法ですが、病状を改善させるのは難しく、次の段階に進行するのを抑える事が主な目的になります。また、黄斑という網膜の中心視力をつかさどる大事な部分が障害をうけると、視力が低下し、眼内に特殊な薬液を注射する治療が必要になる場合もあります。さらに病期が進行し網膜剥離等の増殖性変化を生じてきたら、眼内への手術が必要になります。技術や器具の進歩により以前に比べ、失明に至る方は減る傾向にありますが、それでも毎年 3,000 人の方が光を失っており、中途失明原因疾患の第2位となっている治療が難しい疾患です。
最近は、糖尿病と診断をうけたら、眼科にかかる方も増えていますが、早期発見が重要で、そのためには定期的な検診が大切なのです。