なるほど健康メモ

手術支援ロボット ダ・ヴィンチ(H29.6月号)

30年前、胃癌・大腸癌などおなかの手術といえば、おなかの真ん中を30cmほど縦に切り開き、直接、中に手をいれて病気の場所を探してそれを取り除き、つなぎなおすのが普通でした。どんなに熟練の外科医が手術を行ったとしても、一定の割合で術後合併症が起き、消化液や便が縫合部から外へ流れ出し腹膜炎が起こるなど、重大な問題を起こすことも珍しくありませんでした。離床も進まず食事をうまくとれなかったり、肺炎を起こしたりすることもよくありました。

その後、腹腔鏡手術が考案されました。傷が小さいことで、術後痛みがなく動けるので肺炎にもなりづらく、傷のトラブルがかなり減りました。傷を縫合するのも自動吻合器を使うことで、ほころびもほとんどなくなりました。

手術支援ロボット ダ・ヴィンチ(H29.6月号)

そして最近は手術操作自体にロボットを利用して行うロボット手術が登場しています。それが手術支援ロボット ダ・ヴィンチです。手術台の近くにはたくさんのアームがついた機械があり、操作する鉗子(挟む道具やハサ
ミなど)を取りつけ、それを腹腔にあけた穴を通して体の中に刺しこみ手術するのです。術者は患者様には接することなく、別な場所でモニターを見て手術を行います。あたかも大きなゲームセンターの機械のようです。画面は拡大され3Dで見えるため、すごく細かな作業も確実に安全に行えます。

現在は保険がきかないため手術代はかなり高額ですが、いろいろな診療科で使われだしており、身近なものになるのはそう遠くないように思います。完全にロボットが外科手術を行うようになるのもSF小説の世界だけの話ではないかもしれません。