なるほど健康メモ

医学の進歩 膵臓がんの場合(H29.7月号)

医学進歩とともに医療の内容は変わっています。病気の治療は内科の仕事から外科へ、そしてまた内科へと変わっていくのです。

例えば結核の場合は、静養して様子を見ていたのが手術するようになり、その後、抗生剤で治療が行われるようになりました。

同様に、癌の治療では手術が主役だったのが、抗がん剤や放射線療法が奏功するようになってきて、内科治療が主役となることがあります。

膵臓がんは診断しづらく治療が困難な癌の代表です。発見した時には、既にほとんどの
症例で進行がんであり、根治手術ができる症例はごくわずかです。

医学の進歩 膵臓がんの場合(H29.7月号)

それでもつい最近までは外科的に取るしか治療法はなく、外科医は膵臓がんをなんとか取りきろうと一生懸命工夫して、血管を一緒に取ってつなぎ直すとか、胃や腸をつなぎ直すとか、頑張って手術するのですが、大きな手術となると患者様の負担が多くなり癌が進行してしまい、ほとんど延命効果は得られなかったのです。

最近は、内服で膵臓がんにも効果のある薬ができてきました。今では外科手術は内科治療の補助として行われ、治療の主役は内服薬(抗がん剤など)になっています。とはいえ、現時点では癌を消し去るとまではいかず、発見から亡くなるまでの期間が、手術していた時代に1年程度だったのが2~4年と伸びているだけに過ぎないのですが……。

今後はもっと内科的治療が進歩して、人類が癌を克服するのもそう遠い将来ではないのかもしれません。