なるほど健康メモ

がん遺伝子診断(H29.8月号)

がんはかつて不治の病と呼ばれ恐れられた時代がありました。発見の時点で既に手遅れであることが多かったからです。現在は医学の進歩により早期発見ができるようになってきています。命に関わらないうちに治療できる症例が増えてきているのです。例えば大腸がんであれば、便潜血と内視鏡検査から、がんになる前のポリープを発見して切除することで予防できる時代になりました。そして先月のコラムで膵臓がんの例で示したように、抗がん剤なども進歩して10年前に効果がなかったがんにも効く治療薬が開発されています。

それでも、がんで亡くなる方は依然多くいらっしゃいます。現時点でがんの診断は問診、触診、X線検査に加えて内視鏡検査、超音波
検査、CT検査などの画像診断が主役です。そしてがんの場所、進行度合いを調べて手術
や抗がん剤治療の計画を立てるのですが、全てのがんを診断できるわけではありません。

がん遺伝子診断(H29.8月号)

がんの原因は遺伝子の問題と環境の影響といわれます。ある環境下で、ある特定の遺伝子に傷がつくことで細胞増殖が抑えきれなくなるため正常細胞が死んでしまうのです。

現在、遺伝子レベルでがんを理解し診断・治療へつなげる研究が進められ、最近は現実に遺伝子診断をして一人一人に合った治療ができるようになってきました。でも、まだまだ莫大なパターンの遺伝子全てに合った治療はできないのが現状です。大腸がん、乳がん、子宮がんは特に遺伝性のがんと呼ばれ、近い将来身近に遺伝子診断できるようになることが期待されます。より根治を目指す治療が可能になるに違いありません。今は診断に保険がきかないため高額ですが、遺伝子を完全にコントロールできれば、がんはもう治る病となるかもしれません。それはすでに夢ではない段階に来ているのです。