なるほど健康メモ

胃腸のお話し(H29.12月号)

人間の消化管は食物を消化・吸収するために働いています。代表的なものに「胃」と「腸」があります。また「腸」は「十二指腸・小腸」と「大腸」に分けられます。

「胃」は腹部で最初に食物が通過する部位です。ここは食物を貯留し、胃液と混ぜてドロドロに溶かすことで吸収を助けます。よく噛まない早食いの人が食べ物を消化吸収できるのは胃の働きのおかげです。手術で胃を切除した人はこの消化機能が著しく低下して消化吸収障害を起こします。近年、この消化吸収障害を利用して過度の肥満や糖尿病などの病気をコントロールするために胃を切除する「減量手術」と呼ばれる手術が行われています。

胃腸のお話し(H29.12月号)

「十二指腸・小腸」は胃でドロドロになった食物を消化酵素と混ぜながら分解し、栄養素を吸収します。タンパク質、脂質、糖質などはすべてここで分解と吸収を行います。小腸はとても長く、5m以上あると言われています。小腸の大量切除をすると水分、栄養素、ビタミンなどの吸収障害と免疫力の低下により通常の食事だけでは健康に生活できなくなります。

「大腸」は最後に残った食物のカスを腸内細菌の力を借りてさらに分解し、残った水分を再吸収しながら容積を減らして便として排泄する役割を担います。大腸をすべて切除しても通常の食事での日常生活は可能ですが、水分の再吸収が不足し脱水になりやすくなります。

人間はどれが欠けても健康に生活できませんが、病気によって切除せざるを得なくなった場合はその後の食事訓練・薬・栄養剤・点滴などで障害を軽減します。