なるほど健康メモ
現代の結核その2(H31.3月号)
前回、結核は昔に比べてとても減りましたが、まだ無くなった病気ではないので、2~3週間以上咳が続くような場合は結核も疑って早めに医療機関に受診することが大切と書きました。
結核と診断されますと、昔は大気安静療法といって空気のきれいなところで安静にして栄養を摂るという方法が主流でしたが、第2次大戦後に結核菌をやっつける抗結核薬と言われる薬が次々に開発され、大気安静療法に取って代わり、今に至っています。
現在結核の治療としては、人にうつさなくなるまでは入院していただき、通常3・4種類の抗結核薬を同時に投与します。そして、その投与期間は最低6~9ヶ月必要です。前回書いたように、結核菌は非常に分裂速度が遅いので、やっつけるのにも時間がかかるのです。それでこのように長期間の投薬が必要となります。治療を始めてしばらくすると咳や痰といった症状はぐっと改善してきます。しかし結核の手強いところは、そこでお薬を止めてしまうとまた確実にぶり返してくると言うところなのです。ですから、処方された抗結核薬を忘れずに最後まで飲み続けることが非常に重要です。
症状が改善したからといって自己判断で抗結核薬を飲むのを止めますと、耐性菌といって抗結核薬の効かない結核菌が体の中で出現してくることがあります。そうなると使える抗結核薬が限られてきて、さらに治療期間が長くかかるといった事態を招きます。ですから、そのような事態を避けるためにも、抗結核薬は定められた期間確実に飲みきることが本当に大切なのです。