なるほど健康メモ

若い女性の痩せと妊娠(R元.5月号)

近年、若い女性には強い痩せの願望があり、20代女性の痩せは20~25%、次いで30代の女性にも痩せの割合が高くみられます。しかし、痩せは理想的な栄養状態ではなく、妊娠した場合、児への悪影響が強く出ます。

受精時の母親のBMI(※)が低い場合は、児の出生時体重が小さくなる傾向にあります。 更に痩せた状態での妊娠は、児の病気のリスクを高める要因の一つとなり、感染しやすく、切迫早産も多くなります。それは母親の受精時期の低栄養が原因の一つとされていて、妊娠中期以後の低栄養も、児が大人に成長してからの糖尿病や肥満へのリスクとなります。

若い女性の痩せと妊娠(R元.5月号)

母親の精神的ストレスやうつ状態、育児方法も児の精神発育に大きく影響してきますので、特に妊娠中は落ち着いた環境・精神状態で過ごすことが大切です。家庭内暴力を受けたり、妊娠中に喫煙することは、早産や体重低下、呼吸器や精神疾患、アトピー体質など色々な病気の発症リスクを高めます。

現在の研究では、母乳栄養で育てられた児の3カ月以後の体重増加度が減り、将来の成人病などの発症を抑えられるというデータもあります。

受精してからの千日間で、次世代の一生或いは世代を超えた健康や病気の素となる遺伝子変化が殆ど決まってきます。

今は「授かり婚」が25~40%と多く、次世代の健康を考えると妊娠前からの栄養が重要です。そして、女性の健康を作るための理想体型についての社会的意識を強くもってもらいたいものです。

※体格指数(BMI)=体重kg÷(身長m)²
BMIが18.5~24…正常、18以下…痩せ、25以上…肥り