なるほど健康メモ

他人の視線と自分の主体性(2)(R元.9月号)

外国人の「はにかみや」の一例を紹介します。高名な神学者オルガニストで、1952年にノーベル平和賞を授与され、密林の聖者といわれたアルベルト・シュバイツアー。彼はアルザスのドイツ人のルーテル派の牧師の家に生れ、5歳の頃からピアノを習い、9歳の頃からパイフオルガンの名手。大学では神学、哲学を学び、カントやJ・S・バッハの論文を書いております。30歳の頃から医学を志し、仏領コンゴの無医村に病院を建て、90歳で亡くなるまで医療活動を行っていました。

彼は幼少の時、お祭りで村の子と違う晴着を着せられるのをとても恥ずかしがり嫌がったそうです。皆と違う自分に不安を覚えた様です。彼はピアノレッスンの最終日に、勇気を出して教師の前で感情を込めてピアノを演奏しました。ピアノ教師は驚いてその演奏を激賞し、なぜ今までつまらない演奏をしていたのかと質問したとのことです。

他人の視線と自分の主体性(1)(R元.8月号)

彼の幼少の頃のはにかみは、その後も彼の性格に影響を与えていたと思われます。彼は病院運営の資金を集める為パイフオルガンの演奏や講演をしていましたが、その資金集めについて、あるジャーナリストが批判的な記事を書いたそうです。それ以来、一切のヨーロッパのジャーナリストの面会を断っていました。非常に傷付いたと思われます。ところが日本人ジャーナリストが彼の病院に面会に行くと、喜んで会ってくれました。キリスト教に大きな影響を受けたヨーロッパ文明の中の近くの他人より、別な文明の日本人という遠くの他人の方に親近感を持った様です。

はにかみやは、面と向っている近くの他人の方に心理的距離を感じていると思われます。