なるほど健康メモ
治療ガイドライン(R元.11月号)
今まで「いい血圧ですね」と言われていたのに、最近急に主治医から「もう少し下げたほうがいいですね」と言われて戸惑った方もいると思います。それは、今年、日本高血圧学会から「高血圧治療ガイドライン2019」が公表されたからです。
「高血圧の医療が適正に行われるための標準治療指針とその根拠を与えるものであり、高血圧医療の現場における羅針盤」と記載されています。前回の2014年版から5年ぶり の改定で、降圧目標は、75歳未満では130/80mmHg未満となっていて、2014年版の140/90mmHg 未満から厳格化されています。厳格化の理由は、さらなる降圧で心・脳血管病の発症が低下することが分かったためです。高血圧治療ガイドラインでは、年齢、持病、診察室血圧、家庭血圧で分類された降圧目標が提示されています。
現在はほとんどの病気で学会主体のガイドラインが発表されています。治療する患者さんが多い糖尿病、脂質異常症はもとより、気管支端息、慢性腎臓病でもあります。糖尿病では65歳以上の方のための高齢者糖尿病ガイドもあります。ガイドラインを普段の診療にどのように用いるかは医者によって多少の違いがあると思いますが、ガイドラインを標準としながらも、各々の患者さんの状態によって幅をもたせて治療することが多いと思います。
臨床研究の結果や新薬の成績を踏まえて今後もガイドラインは改定されますので、主治医が治療目標や薬を変更するときには背景にガイドラインの改定があるかもしれません。