なるほど健康メモ

貧血の話し「貧血をおこしてたおれた...」(R3.11月号)

貧血というと、急に立ち上がったとき頭がクラッとした、朝礼などで血の気が引いて倒れた、など目まい ・ 立ちくらみというイメー ジが強いかもしれません。しかしこれは貧血ではなく「脳貧血」と呼ばれ血圧の調節がうまくいかず、脳血流量の一時的な低下で引き起こされるものです。

貧血とは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの量が少なくなるために血液の酸素を運ぶ能力が低下し、全身が酸素不足となった状態のことです。動悸・息切れ、疲労感、倦怠感、耳鳴りなどを自覚します。顔色が不良、結膜が白っぽい、口角炎や爪の変形、氷が食べたくなったりで気づかれる場合もあります。

貧血の話し「貧血をおこしてたおれた...」(R3.11月号)

貧血の中で最も患者数が多いのは、「鉄欠乏性貧血」で貧血の6割から8割を占めると言われています。鉄欠乏性貧血は女性に多く、月経による出血、妊娠や授乳で鉄の需要が増加するためです。長距離ランナーなどで多量の発汗による鉄喪失で発症することがあります。注意が必要なのは潰瘍・ガン・痔のために消化管から出血するため発症する場合です。胃切除後や胃のピロリ菌感染で鉄分吸収が低 下するため引き起こすことがあります。

普段から貧血にならないように食事療法で栄養を摂取することが必要で、鉄分が豊富に含まれるのは鶏や豚のレバー、まぐろやかつおなどの青魚です。ただ鉄の吸収率は非常に低いため、既に貧血になっている場合は医療機関で鉄剤の処方を受けた方がよいです。鉄剤の内服薬は胃腸障害を引き起こしやすいため、注射で対応することもあります。

今回は鉄欠乏性貧血が中心でしたが、他に「再生不良性貧血」「悪性貧血」「溶血性貧血」などがあります。これらは診断がむずかしいので、内科の医療機関を受診してください。