なるほど健康メモ
サル痘(R4.9月号)
サル痘は、1970年にザイール(現在のコンゴ民主共和国)でヒトでの初めての感染が確認されました。病原体はオルソポックスウイルス属のサル痘ウイルスで、中央アフリカから西アフリカにかけて流行しています。2022年5月以降、欧米を中心に感染が増加しています。7月に日本国内でも感染例が確認され、今後の感染拡大が懸念されます。国内では感染症法上の4類感染症に指定されています。
症状として一般的には発熱や発疹、リンパ節の腫れ、頭痛等の症状がみられます。皮疹は顔面や四肢に多く出現し、徐々に隆起して水疱、膿疱、痂皮となります。潜伏期間は通常7〜14日です。
感染経路としてリス、サル、ウサギなどウイルスを保有する動物との接触によりヒトに感染します。主に感染した人や動物の皮膚の病変・体液・血液に触れた場合、患者と近くで対面し、長時間の飛沫にさらされた場合、患者が使用した寝具等に触れた場合等により感染します。
診断は水疱や膿疱の内容液、あるいは組織を用いたPCR検査による遺伝子の検出、その他、ウイルス分離・同定や、ウイルス粒子の証明、蛍光抗体法などの方法が知られています。治療は対症療法が中心となっています。
予防法としては天然痘ワクチン接種があります。約85%発症予防効果があるとされています。また流行地では感受性のある動物や感染者との接触を避けることが大切です。経過としては多くの場合2~4週間で自然軽快するものの、小児や、患者の健康状態、合併症などにより重症化することがありますので注意が必要です。