なるほど健康メモ

たかが便秘されど便秘(R5.4月号)

便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。便秘は私たちにとってとても身近な存在ですが、最近の研究により便秘が寿命や大病に関わることが明らかになってきました。米国の2010年の論文では、便秘とそうでない方を15年間追跡すると、便秘患者さんは便秘でない患者さんよりも亡くなっている方が多く、生存率に20%以上の差を認めました。他の報告では、排便回数が4日に1回以下しかない便秘の人は、1回以上排便する人に比べて、狭心症・心筋梗塞で死亡する危険 性が1.45倍、脳卒中で死亡する危険性が2.19倍と報告されました。便秘って意外に恐ろしいものなのだなと思いませんか?いきむことによる急激な血圧上昇は血管や心臓に大きな負担となります。トイレで突然倒れてしまうといったケースも決してまれではなく、どなたにとっても便秘の予防・解消が大切であると言えます。

たかが便秘されど便秘(R5.4月号)

便秘と一言で言ってもその原因は人によって様々ですので、解消方法も人によって異なります。一般的によく言われているものには食物繊維や乳酸菌食品の摂取、ウォーキングやヨガなどの軽い運動、腹部マッサージなどがあります。うまく解消されない場合はお気軽に病院を受診してください。この10年で便秘症に対する新規治療薬が複数使用できるようになり治療の幅が広がりました。市販薬の多くは刺激性下剤に分類され、継続的な使用により耐性が生じ、次第に効果が得られなくなるため注意が必要です。

最後に、注意を要する便秘に大腸がんに伴う便秘があります。血便や便が細くなってきた方などは必ず内視鏡検査を受けるようにしましょう。