なるほど健康メモ

前立腺のお話し ①(R5.5月号)

前立腺は膀胱のすぐ下にあるクルミ大の臓器です。男性にのみ存在し中心を尿道が貫いています。尿は腎臓でつくられ次第に下腹部にある膀胱にたまっていきます。膀胱がふくらむと尿意を感じトイレで排尿しますが、そのとき膀胱から出た尿は前立腺の中を貫いている尿道を通り抜け排出されます。そのため前立腺のトラブルがさまざまな排尿の症状を引き起こします。今回はその一つである前立腺炎についてお話しします。

男性は尿道の短い女性と違い尿に感染がつくことは稀ですが、加齢とともに出現する様々な排尿障害により感染がつきやすくなります。前立腺に細菌感染が起こると排尿時の痛みや尿の出しづらさといった症状に伴い高熱が出ます。高齢者では自覚症状がほとんどなく熱のみがでることもあります。急性前立腺炎といってこのような感染は自然に治ることはなく、抗生剤による治療が必要で入院となることも多い病気です。感染が落ち着いた後に原因となる排尿障害があればその治療が必要となります。

前立腺のお話し ①(R5.5月号)

一方、比較的若い男性でもなり得る疾患として慢性前立腺炎があります。急性前立腺炎と違い熱が出ることはなく、股の圧迫感や鈍痛、不快感といった症状が長く続きます。急性前立腺炎の原因が細菌感染であるのに対し慢性前立腺炎では感染が関与しない場合も多く原因はよく分かっていません。抗炎症作用のある薬物や抗生剤を使用することもありますが症状が長引くことがあります。

前立腺炎は一過性の病気ですが、加齢とともに出現する前立腺肥大症や前立腺がんは聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。次回以降はこの2つの疾患についてお話しします。