なるほど健康メモ
前立腺のお話し ②(R5.6月号)
前回のコラムでも説明しましたが、尿道は前立腺の中心を貫いています。前立腺が大きくなると尿道が左右から圧迫され、尿が出づらくなり排尿に時間がかかります。このような状態が長く続くと膀胱にも負担がかかります。その結果、1回の排尿で全ての尿を出し切ることができなくなる「残尿の増加」、排尿の回数が増える「頻尿」、膀胱の我慢がきかなくなり尿意を感じると漏れそうになる「尿意切迫」、そして実際に漏れてしまう「切迫性尿失禁」といった症状がでてきます。こういった状態が長期間治療されずに放置されると、場合によっては腎臓の機能にまで影響を及ぼすことがあります。
前立腺が大きくなる疾患として前立腺肥大症があります。これは加齢とともに前立腺が大きくなる良性の病気ですが、全ての人が大きくなるわけではなく、かなり個人差があります。病院では通常、超音波検査で前立腺の大きさを測り、尿の勢いを調べる検査や残尿測定を行い肥大症の程度を評価します。前立腺肥大症の治療には薬物療法と手術療法があります。薬物療法としては尿道の緊張を緩め症状を緩和させる薬と前立腺自体を小さくする薬があります。これらの治療で症状が改善しない場合は手術を考慮します。通常は開腹手術となることはなく、内視鏡を用いて前立腺の内側をくり抜くような手術となります。前立腺肥大症に伴う症状は市販薬では改善しませんので、病院を受診することをお勧めします。病院では先に述べた検査の他に、がんがないかどうかを調べます。
次回は同じ前立腺でも肥大症とは全く違う前立腺がんのお話しをします