なるほど健康メモ

前立腺のお話し ③(R5.7月号)

前立腺肥大症は良性疾患ですが悪性の疾患として前立腺がんがあります。血液検査でPSAという前立腺の腫瘍マーカーを測定することが診断のきっかけとなります。この数値が一定の基準値を超えた場合、がんが疑われ前立腺に直接針を刺して組織を採取しがん細胞の有無を調べる前立腺生検が必要となります。がんの診断がついた場合はCT検査や骨の検査を行いがんの広がりを調べます。転移がなくがんが前立腺の中に留まっている可能性が高い場合は基本的にがんの根治(治しきること)を目指します。大きく分けて手術で前立腺を全て摘出する方法(前立腺肥大症の手術とは違います)と放射線治療があります。手術に関しては近年手術用のロボットを用いた内視鏡手術が主流となってきており、開腹の時代に比べ合併症や体の負担が非常に少なくなっています。どちらの治療も効果はほぼ同等ですが、それぞれメリット・デメリットがありますので選択の際には医師の説明を聞きご自身で判断する必要があります。

前立腺のお話し ①(R5.5月号)

前立腺がんは体内の男性ホルモンによってがんが進行するという性質があります。そこですでに転移のある方や高齢の方には手術や放射線治療は行わず体内の男性ホルモンの値を下げることによってがんの勢いを抑える内分泌療法を行います。がんを完全に死滅させることはできませんが、かなり進行したがんでも勢いを抑え込むことができます。ただし進行したがんではやがて内分泌療法が効かなくなり、その後がんは進展していくので、抗がん剤などの他の治療が必要となります。

他のがんと同様に前立腺がんも早期発見が 大事ですので、50才以上の男性においては一 度PSA検査をすることをお勧めします。