なるほど健康メモ

梅毒(R5.9月号)

梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌により引き起こされる感染症で、主に性的接触により、口や性器などの粘膜や皮膚から感染します。梅毒に感染すると、性器や口の中に小豆から指先くらいのしこりができたり、痛み、かゆみのない発疹が手のひらや体中に広がったりすることがあります。これらの症状が消えても感染力は残ります。

治療をしないまま放置していると、数年から数十年の間に心臓や血管、脳などの複数の臓器に病変が生じ、時には死に至ることもあります。また、妊娠中の感染は特に危険です。母親だけでなく胎盤を通じて胎児にも感染し、死産や早産になったり、先天性の異常をきたしたりすることがあります。生まれたときに症状がなくても、遅れて症状が出ることもあります。

梅毒(R5.9月号)

日本では1948年から梅毒の発生についての報告の制度があります。その報告数は1967年の約11,000人以降、減少していました。しかし、2011年頃から再び増加に転じ、2019・2020年に微減したものの2021年以降大きく増加しています。2022年には13,000例を超える報告があり、今年はさらにそれを上回るペースで推移しています。男性20代~50代、女性では20代の増加が顕著となっています。

近年の梅毒発生の増加について、原因ははっきりとわかっていませんが、一部報道では、SNS等の普及による不特定者同士の接触増加が要因となっている可能性が指摘されています。

梅毒は、早期に治療をすれば注射薬や内服薬で治すことができます。症状があるときや、不安なときは、あなたと大切なパートナーを守るためにも、早めに検査を受けましょう。