なるほど健康メモ

知ってほしい慢性閉塞性肺疾患(COPD)②(R5.12月号)

「慢性閉塞性肺疾患(以下、COPD)はどんな病気ですか?」と尋ねられるとき、私は「息を吐けなくなる病気です」と答えます。

COPDでは、主にたばこ煙などの有害物質の吸入により、内径2mm以下の細気管支である末梢気道における慢性的な炎症(これにより痰が貯留したり気道粘膜がむくみ、気管支内腔が狭くなる)や肺胞の破壊がさまざまな割合で複合的に作用して気流閉塞が生じ、結果として息を吐くことができなくなります。息を吐くことができなくなるということは、吐ききれずに肺内に残る空気の量(残気量)が増えることを意味します。息を吐いた後は吸気が始まりますが、肺の容量は一定なので残気量が増えることで、新たに吸い込める空気の量(吸気量)が減ってしまうことになります。

知ってほしい慢性閉塞性肺疾患(COPD)(R5.11月号)

この気流閉塞は、労作時など努力呼吸をする時ほど、より早期に生じてしまいます。つまり、COPD患者では安静時よりも労作時で残気量が増え、より多くの酸素を取り込みたい労作時にも関わらず吸気量は安静時よりも少なくなり、結果として「息切れ」が生じてしまいます。

COPDは、この気流閉塞を検査で確認することで診断されます。この検査をスパイロメトリー(肺機能検査)といいます。マウスピースをくわえながら通常呼吸や深呼吸を繰り返し、肺を出入りする空気の量やその速度などを測定する呼吸機能検査です。検査を受けてみたい方は、かかりつけの医師に尋ねてみてください。

COPDの治療はこの気流閉塞を解除し、息切れを軽減することです。大活躍する治療薬は「気管支拡張薬」ですが、この続きはまた次回で。