なるほど健康メモ

知ってほしい慢性閉塞性肺疾患(COPD)③(R6.1月号)

皆さんは日常生活で息切れを感じることはありますか?前回、COPD患者では息を吐けなくなることで吸気量が減ってしまい、その結果息切れが生じてしまうことをお伝えしました。しかしながら、実際にCOPD患者が息切れの症状を訴えるかというと案外そうでもない印象を受けます。

その理由は、無意識のうちに息切れを感じない程度の活動しかしない生活スタイルが長年にわたり染み付いてしまっているからかもしれません。「ソファで座って過ごす時間が多い」「座るどころか横になって過ごすことが多い」など、心当たりのある方は多いのではないでしょうか?

知ってほしい慢性閉塞性肺疾患(COPD)(R5.11月号)

最新のCOPDガイドラインでは、患者の管理目標に「疾患進行の抑制および健康寿命の延長」が追加されました。疾患進行の抑制には、禁煙が何よりも大切です。COPD患者では「セデンタリー行動(座りがちな生活スタイル)」が予後に影響することが最近の研究で分かってきました。座位時間が長いほど生存率が低くなる傾向があるのです。このため「身体活動性の向上と維持」が大切です。

身体活動とは、掃除や炊事・洗濯、子どもの面倒を見るなどといった屋内で行う身の回りの動作から、庭の手入れ、健康のための運動、趣味や楽しみのために行われる活動など、生活を営む上で行う日常的な全ての身体の動きが含まれます。/p>

COPD患者がこれらの身体活動を息切れなく行うことを助けてくれるお薬が「気管支拡張薬」です。近年さまざまな吸入薬が処方できるようになってきましたが、その薬剤を正しく使用できるよう適切な吸入指導を定期的に受けることも欠かせません。かかりつけ医や薬剤師にお気軽にご相談ください。