なるほど健康メモ

花粉症のはなし~その3~(R2.7月号)

春の樹木花粉症が終わると、雑草などの草本植物の花粉症が全盛期を迎えます。初夏からはカモガヤ、オオアワガエリ(チモシー)等のイネ科植物、お盆頃からは秋の雑草であるヨモギ、ブタクサに代表されるキク科植物が花粉症を引き起こすアレルゲンとなります。

花粉症は植物の分類学上の「同科植物」で共通のアレルギー反応を起こすことがあります。例えば雪解けと同時に飛散するハンノキは「カバノキ科」に属します。これはシラカバと同科植物であるため、シラカバアレルギーの方はハンノキの花粉にも反応する可能性があります。また春から初夏にそこら中に咲き乱れるタンポポはキク科植物なので、秋だけの花粉症と思っていたキク科アレルギーの方が春の天気のいい日に外で散歩すると、一時的に症状が出現するなんてこともしばしばあります。このキク科植物は世界で約2万種あり、地球上で最も分化した植物の一つといわれています。葬式などで献花に使用される菊やマーガレット、ひまわり、アザミ等々、街中至る所でキク科の花を見かけます。キク科アレルギーの方はこれらの同科植物の花粉にもアレルギー反応を起こすこともあるので注意が必要です。

花粉症のはなし~その2~(R2.7月号)

花粉症であることが確かな最初の臨床記録は、1819年にイギリス人医師が発表した「枯草熱」と呼ばれる夏かぜ様症状について報告したものでした。牧場で家畜の食糧となる枯れ草を扱う牧夫に、かぜ症状が出るのは植物花粉が原因ではないかと考えたのが始まりのようです。それから200年、花粉症は今や先進国の国民病となりました。効果的な治療法が開発されて更なる進化を遂げ、予防法も確立しつつありますが、人類とこの「花粉症」との闘いは、この先もまだまだ続きそうです。