なるほど健康メモ

高齢者の皮膚(3)(R4.7月号)

皮膚の最外層にある角層は身体を乾燥や外的刺激から守る役目を果たしています。この角層を作り出すのは表皮の角化細胞群です。角化細胞は色々な刺激で傷害を受けると炎症を引き起こす物質を産生します。乾燥して痒くなった皮膚を引っかくと炎症(皮脂欠乏性湿疹)が生じます。

皮脂欠乏性湿疹の治療では、皮膚の炎症と範囲の拡大を抑えることが大切です。湿疹の状態に合わせて炎症を抑えるステロイド外用剤を使用します。また、痒みを抑えるために内服薬を投与することもあります。乾皮症には保湿剤によるスキンケアが大切になります。

高齢者の皮膚

保湿剤は皮膚表面をワセリンなどの油脂膜で覆って水分の蒸散を抑えるエモリエントと、尿素などの保湿成分を含み直接的に角層水分を増加させるモイスチャライザーとに分類されます。エモリエント製剤は安価で刺激性がありませんが、ベタつきがあり夏場は使用感に難があります。モイスチャライザー製剤はクリームやローションなど剤型が豊富で、角層の水分を増加させる効果が高いですが、時に刺激性を示します。

生活上の注意点として、入浴に際しては高齢者の場合は熱いお湯は避けること、洗浄剤をよく泡立て柔らかい布で優しく洗うこと、カサカサを落とそうとして強くこすらないことなどが大切です。入浴後に保湿剤を塗るタイミングは、入浴直後でも1時間後でも効果に差がないので自分の生活パターンで保湿するのが良いと思います。1日に塗る回数は1回より2回のほうがよいので、朝はローション、夜は入浴後にクリームはいかがですか。