なるほど健康メモ

耳鳴りに対する心構え(R6.2月号)

短時間の“キーン " といった耳鳴りは誰しも経験があると思います。この音が持続的に聞こえるとかなり煩わしいと想像できますよね。脳へはいろいろな音の信号が届いていますが不要な音は自動的に無視されます。難聴などで外界からの音の情報が減ると、無視していた音を探してしまいます。また、聴覚の神経障害が起きると、音がないのに音の信号を脳に送るようになります。これが持続すると耳鳴りとなります。

このような耳鳴りは一旦意識されるとなかなか消えず、慢性的な耳鳴りとして聞こえるようになります。残念なことに特効薬はありません。

耳鳴りに対する心構え(R6.2月号)

ところで、意識の向け方で聞こえる音の大きさは変わります。例えば、静かな部屋でも普段は空調や電気製品の雑音は気になりませんが、集中して聞くとかなり大きい音に感じます。騒音下でも自分の名前は聞こえます。時計のカチカチ音は普段は聞こえなくても、眠れぬ夜はうるさく聞こえます。同様に意識の向け方で耳鳴りの大きさも変わります。耳鳴りを気にして注意を向けるとどんどん大きく聞こえ、逆に無視することができると小さくなります。

意識的に耳鳴りを無視するには、好きなことや趣味に打ち込むなど意識を集中できる行為をするとか、注意をそらすため音楽や不快に感じない程度の雑音を聞くなどの方法があります。こうすることで煩わしさはかなり減ります。“気のせいだというのか?”と不満に思われるかもしれませんが、これらは教育的カウンセリング、音響療法、認知行動療法と言われる医学的に根拠のある治療法です。

当てのない薬探しはほどほどにして、耳鳴りを気にしすぎず上手に付き合っていきましょう。